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Japanese 民主的な独裁者 オーストラリアのリプリーミュージアムの監督で元サーファーのRussell Murphy は公正で信頼できる忠実なマネージャーの模範 (記事:Tim O’Brien )
オーストラリアのクイーンズランド州にある『リプリーのビリーブ・イット・オア・ノット』ミュージアムの支配人を務めるRussell Murphy は、アジア地域統括マネージャーとして、マレーシアとタイにあるリプリーエンタテインメント社のアトラクションの監督も務めている。
リプリーの年間最優秀マネージャーに 4 度選ばれた彼は、サーファーズパラダイス役員会のメンバーを務めているほか、 IAAPA のコミュニケーション委員会にも名を連ねている。このほか、ゴールドコースト・インスティチュートの TAFE (職業訓練専門学校)で「自信と自尊心」に関する講義を担当している。
教師や友人から「将来は何にもなれない」と評された彼にしては悪くない。実際、学校を出てから 15 年近くの間の彼のライフスタイルは、その予想が正しかったことを示している。しかしその後、彼は真面目になった。
10 歳でロック音楽を知った彼は、その後、女の子と遊ぶ楽しさに走った。サーフィンを知ったのは 17 歳のときだが、これが、完全な波を探すことに集中する彼のライフスタイルを決める要因となった。サーフィンにのめり込んだMurphy は、オーストラリア中東部にある「サーファーズパラダイス」というふさわしい名で知られる場所で、本物のサーファーとしての生活を送っていた。そこには、『リプリーのビリーブ・イット・オア・ノット』ミュージアムがあった。ほとんど労働者として働いていた彼は、いつの日にか「本物の」ビジネスで「真面目に働く」ことになる、と思っていた。彼は言う。「波のトンネルの中を駆け抜けているときに、昔ながらのビジネスに専念しようとしても難しいでしょう。その時が来たら、自然にその道に進むことになるとわかっていました。だから、無理には進まなかったのです。」
時おりアルバイトで仕事をする以外にはサーフィンにすべての時間を注いでいたMurphy は、 40 代になるまで「愛とは何か」を学ぶ時間さえなかった、と言う。彼が生涯でただ一度の結婚を迎えたのは 46 歳のときだった。サーフィンをしていた当時、夜間の仕事がないときには、近くの大学でマーケティングの授業を受けていた。「夜はサーフィンができなかったので、いくつかの科目を取りました」と彼は言う。
多くのサーファー友だちとは違って、Murphy は、何年間も波を追い続けることで、社会の主流から完全に脱落したわけではなかった。母親から法を遵守するように教えられていた彼は、道を踏み外すこともなく育った。ときどき酒を飲むことで知られる彼も、そのライフスタイルから連想されるようなドラッグの文化に染まることもなく、その点でも問題はなかったと彼は言う。
彼は言う。「それはとても単純なことです。私はじっくりと考えてみました。もしドラッグをやっていたら法を犯していたでしょう。法を犯していたら監獄に入れられていたでしょう。監獄に入れられたらサーフィンはできません。ごく簡単なことです。」
その日が来た クイーンズランドでバーテンダーとして働いていたMurphy の頭にひらめきが走ったのは、 1983 年のことだった。バーカウンターの後ろに立って、通りの向こう側で誘うかのように寄せては返す波を見つめていた彼は、「いよいよ準備が整い、その時が来たことに気づきました。そこに立って、自分の優先すべき課題を、のらくらした生活からビジネスへと変える必要があると感じたのです」という。
ただし、それは精神的に傷ついたからではないという。そのときすでに 30 歳になっていた彼は、自分がサーフィンをして過ごした日々を初めて振り返って、それはそれで楽しかったものの、彼の人生のメインイベントの序幕に過ぎなかったことに気づいた。
彼が初めて「キャリアを目指して真面目に取り組んだ」仕事は、サンシャインコーストにあるムールーラバホテルの宿泊部門だった。最後はそのナイトクラブのマネージャーに昇進した。その後、キャッスルメインパーキンスに入社し、そのホテルのひとつで副支配人に昇進した彼は、 1985 年にノースクイーンズランドのグレートバリアリーフに移り、そこでリザードアイランドリゾートの副支配人になった。
1986 年にゴールドコーストに戻った彼は、ヒルバーツ・クルーズ・アンド・ツアーズの広報マネージャーとして 4 年間働いた後、リプリーに入社した。1990 年には、当時フランチャイズオーナーの所有であった『リプリーのビリーブ・イット・オア・ノット』ミュージアムのマーケティングマネージャーとして入社した。 1991 年、リプリーエンタテインメントがフランチャイズオーナーからこの会社を買収したとき、Murphy はその経営陣に留まり、ゼネラルマネージャーに昇進した。
サンフランシスコの『リプリーのビリーブ・イット・オア・ノット』ミュージアムでゼネラルマネージャーを務めていたIan Iljas がオーストラリアに派遣され、Murphy のゼネラルマネージャー研修を担当した。その彼は本誌( Funworld )にこう語る。「Russell としばらく過ごした私は、彼はこの土地で事業を伸ばすのに必要な活力、熱意、それに性格を持ち合わせていることに気づきました。彼が持つ気力、ユーモア、ビジョン、率直さ、それに営業や宣伝能力は、この事業を立て直すための役に立ちました。」
1997 年、ビジネスの拡大その他の功績により、 Murphy は初めてリプリーの年間最優秀マネージャーの栄冠に輝いた。これまでに 4 回もその賞を獲得した彼は、同社が所有するアトラクションのマネージャーの中で最多受賞数を誇っている。 Iljas によると、リプリーエンタテインメント社内で Murphy ほどの業績を達成したマネージャーは、それまで誰もいなかった。彼は言う。「Russell が変えたサーファーズパラダイスのビジネスは、多くの人々が可能と思っていたレベルを上回っています。」
Murphy は、自分自身の仕事の進め方を「民主的な独裁者」と表現している。自分の信念と理想に則って事業経営に当たる彼は、結論を出す前に「スタッフに相談して、その考えや意見を聞く」という。それでも、ほとんどの場合は彼自身のやり方で進めている。彼のお気に入りの言葉のひとつに、「リーダーシップとは行動であって、地位ではない」というのがある。リプリーの最高財務責任者( CFO )を務めるDarren Loblaw によると、 Murphy がマネージャーとして成功を収めているのは、「彼が自分のビジネスや、会社で最も重要な資産である従業員に対して極めて忠実で、そのほとんどを大切にしているからでしょう。」
ミュージアムという職場環境を心底から楽しんでいる Murphy は、できる限り多くの時間を割いて、ミュージアム内で時間を過ごしたり、アトラクションの前の通りで来場者と話をして過ごしている。彼はまた、毎日必ずチケット売場やロビーに来ては、観客の賑わいを感じ取っている。リプリーでアトラクションサービス担当役員を務めるPete Fisk は、 Murphy の現場主義的なアプローチに感銘を受けている。彼は言う。「私自身はけっして事務屋ではないのですが、しかし現実には、オフィスからミュージアムの現場に足を運ぶのが難しくなっています。それは良いことではありません。なぜなら、問題の大部分は、その答が現場にあるからです。来場者と話をすることで、何を為すべきかがわかりますし、その言葉に耳を傾ければ、けっして間違えることはないはずです。Russell はいつも現場の最前線に立つ実践第一主義のマネージャーです。」
Murphy は、来場者の言葉に耳を傾け、既成の枠組みにとらわれずに物事を考えると同時に、地元業界とも積極的に交流することによって、過去 10 年間に 12.5 パーセント以上という高い年間成長率を達成しながら、この 9000 平方フィート(約 840 m 2 )のミュージアムの発展に貢献している。
アジア全域の監督として 2005 年の初め、 Murphy は、アジア各地にあるリプリーのアトラクションを監督する地域統括マネージャーに昇進した。彼はオーストラリアのミュージアムの経営を続けると同時に、本社駐在員として他の施設の支援にあたることになった。彼の新たな任務として、タイおよびマレーシアにおける同社のアトラクションの運営面に関する本社への報告が加わった。彼の仕事には、衛生状態の監督、スタッフの成績評価、展示物の質、メンテナンスならびにマーケティングのほか、注意の必要な分野があれば、そのビジネスを更新または改善する方法に関するサポートや提案も含まれている。 Loblaw は言う。「他の場所にあるいくつかの施設もRussell が監督していますが、彼が持つ豊富な経験と活力、それに独特のユーモアセンスが、これらの施設にも大きな恩恵をもたらしています。」
1991 年に Murphy を起用したリプリーエンタテインメントのBob Masterson 社長は、その理由のひとつに、 Murphy が自分の直感を信じて良い仕事をしていることを挙げている。彼は言う。「成功する人々が持つ主な特徴のひとつは自信です。Russell は間違いなく、自分自身が持つ能力に対して、全幅の信頼を寄せています。」彼はさらに、こうつけ加えた。「当社のオーストラリアの代表者として、この業界全体を探しても、彼ほどの適任者は思い浮かびません。」
近隣の大手同業者 Murphy のアトラクションは、ドリームワールド、シーワールド、ウェットンワイルド、ワーナーブラザーズ・ムービー・ワールドなどのオーストラリア最大のアトラクションと同じ市場を対象としている。
彼は言う。「これらのアトラクションは、このミュージアムよりずっと大規模ですが、競争相手には違いありません。リゾート都市に位置するこのミュージアムの場合は、ここに数日間滞在する観光客がお客様ですから、呼び込めるチャンスはあります。」このミュージアムは、人気のあるサーファーズパラダイスビーチから 200 ヤード離れた歩行者専用モールの低層階にあるため、歩いてくる人の流れからは見えにくいという、もうひとつ別の意味の競争にもさらされている。
Murphy は言う。「人々の注目を集め、目立つための方法を探す必要があります。幸いなことに、私たちの場合は無料のメディアを利用することができますし、その多くは国中の注目を集めています。」つまり、マーケティングと PR 能力に加えて、その陽気な性格のおかげで、彼はメディアとの関係を上手に作っている。彼は、過去数年かけて作ってきた人脈を使って、「バークスバックヤード」「タイムアウト・フォア・シリアス・ファン」、それに全国で放送されている「トゥデイショー」など、いくつかの国内向けテレビ番組でよく取り上げられる。彼は言う。「『トゥデイショー』は、特によくしてくれます。午前 6 時から 9 時まで、放送の合間に流される天気予報を、このミュージアムから中継してくれたこともありました。」
Murphy の法則 Murphy の第一印象は、タレントのP.T. Barnum といったところだ。声が大きくて自信に溢れ、ユーモラスな彼は、楽しいことが何よりも好きだ。しかし、陽気にはしゃぐその姿とは裏腹に、示唆に富む箴言をいつでも取り出せる彼は、深い考えを持った知的な人間でもある。「自分自身の至らなさをいちばんよく知っているのは、私自身です」と彼は言う。
Murphy は、この 12 年間、新聞や雑誌をつねに手元に置いて、気に入った言葉を見つけるたびにそれを書き留めてきた。たとえば、人生について面白い考え方にめぐりあったら、それを書き留める。また、既成の枠組みにとらわれない新しい「やり方」を思いついたら、そのアイディアも書き留めている。彼の本には、日々の生活、神、ビジネス哲学に関するユニークな考え方や、やる気を起こさせるような箴言がびっしりと詰まっている。
1990 年に彼が書いた「ザ・サーフィン・イヤーズ」というサーフィン詩集は、サーファー時代の彼が書いた自伝的な叙情詩で、広く出回っている。 Murphy は彼の過去を、次のような一節で語っている。「歳月が経ち時は移ろうとも、サーファーとしてのライフタイルもフィーリングも以前と変わらない」「プレッシャーの中で働いている今も、はるかに過ぎ去ったあの日々を振り返る」そして「これらの記憶が残る心の中に、私の生活の一部が消えることなく残っている。」
彼は毎朝、職場まで車で 10 分の距離を通勤しているが、その間も、 16 年前にサーフィンを楽しんだいくつかのビーチが思い出される。彼はこう嘆いていた。「正直に言うと、今でもときどき、あの当時の光景が心をよぎるのです。特に強く心引かれる朝は、私は車を止め、外に出て潮の香りを楽しみます。とてもすばらしい香りですよ。」彼が最後にサーフィンをしたのは、 1999 年 12 月 31 日、ニューサウスウェールズ州のムーニービーチだった。
Murphy はこのほか、様々なゲーム番組にも挑戦して勝利を収めた。 1984 年に彼が初めて挑んだゲームショー「ザ・パーフェクト・マッチ」では、週末のバリ島旅行を獲得した。 1996 年に出場した「ザ・セール・オブ・ザ・センチュリー」ではわずか 1 問差で敗れ、 2002 年の「ウィーキストリンク」では「完全に失敗した」という。
しかし、 Murphy がゲーム番組に挑戦する日々も、すでに終わった。彼は言う。「私はチャンスを追い回すのではなく、自分の人生をまっとうに生きる道を選んだのです。いずれにしても、餞別の贈り物はもういりませんから。」 夢中になりそう 最もよく話題に上る世界最大の水族館を Funworld 誌がつぶさに見学 (記事: Jeremy Schoolfield )
深みにはまる ホームデポの共同創業者Bernie Marcus がアトランタ市に感謝して寄贈したジョージア水族館の全容が明らかに
ジンベイザメという生き物について本で読み、それが成長するとどれほど大きくなるか( 40 フィート=約 12 m !)、またはどれほどスムーズに水中を泳げるかを知ることには、それなりの意義がある。しかし、この巨大な生物が容積 600 万ガロン(約 22,700 m 3 )の水槽の薄暗い奥底から、今にも手が届きそうなところを滑るようにして頭上に高く昇っていく姿を見るのは、それとはまた違った意味で意義深い体験である。
この巨大なサメを 1 匹どころか 2 匹も飼育しているアトランタの新ジョージア水族館は、週末の午後の暇つぶしにぶらぶらする場所というには、あまりにも贅沢にできた施設である。長い夏休みの最中に遊びに行きたいと騒ぐ子どもたちを連れて行くだけの場所でもない。この惑星の深海に棲む生き物たちについて勉強できる場所といっても、まだ言い尽くしてはいない。
この水族館は、見学者を(船のような形をした)暗い洞穴のような建物へと誘い、ありとあらゆる展示コーナーで、はっと息を飲み、開いた口がふさがらないほどびっくりする光景を見せることによって目を楽しませ、心がはずむような体験のとりこにしてしまう。
ホームデポの共同創業者 Bernie Marcus が寄付した 2 億 5 千万ドルを主な財源としてアトランタに新しく建設された、総面積 55 万平方フィート(約 51,000 m 2 )というこの水族館のすばらしさは、筆舌に尽くしがたい。実際に見ていくうちにわかるだろうが、このジョージア水族館には何種類かのスポットがあって、何をするでもなく、ただ立って(または座って)すばらしい光景を見つめているだけでもいい。
1979 年 6 月 22 日、 Marcus は共同創業者のArthur Blank とともに、アトランタ市内でホームデポ金物店を創業した。約 30 年後、ホームデポは世界最大のホームセンターに成長し、 Marcus は、自分とその会社が長年にわたってジョージア州の人々から受けたすべての支援に強い恩義を感じていた。
彼は言う。「これは、私があれだけお世話になったこの都市に報いる良い機会になりました。今の私の生活があるのも、すべてジョージア州のおかげです。」
水族館を選んで寄贈したのは、それが世代に関係なく受け入れられるものだからだ、と Marcus は言う。なるほど、魚を見るのが嫌いな人もいないだろう。しかし、ありふれたお決まりのものにだけはしたくなかった。彼は、このジョージア水族館を、アトランタのひとつのシンボルのような施設としてイメージしていた。つまり、アトランタを、ビジネスだけの都市から、本格的な観光地へと脱皮させるのに役立つものにしたかったのである。
アトランタのShirley Franklin 市長は言う。「この施設は、アメリカ合衆国の南東部全体の経済にとって、ひとつの原動力になるでしょう。」
2005 年 11 月 23 日に開業したこの水族館は現在、世界最大の規模を誇っているが、あらゆる見学希望者に受け入れられるような娯楽的な価値を念頭に置いて設計された施設である。これは何も、水族館によくありがちな四角い水槽に限った話ではない。それは、原則というよりもむしろ例外に過ぎない。 5 つに分かれたこの施設の主な展示室それぞれに、いくつかの「発見」がある。来館者が角を曲がって、または暗くした通路から出てくると、そこでまた、新たな興奮に満ちた新しい視野が開けるように工夫されている。
この水族館の設計主任を担当したGary Goddard エンタテインメントのオーナー、Gary Goddard は言う。「魚は、できるだけ魚らしく見せたいと思っています。この水族館のスターたちのために、私たちはすばらしいショーケースを製作しました。」
しかし、来館者が実際にスターの姿を見ることができなければ、どれほどうまく施設を設計しても、十分な効果を発揮することはできない。ジョージア水族館の水槽の多くは、普通のガラスではなく、アクリルでできたものを使用している。このため、水中を覗きこんで見る人は、反射によって視野が遮られることはない。この材質は非常に透明度が高いので(ボランティアのダイバー清掃員がダイヤパーを使って内側から窓を拭いている)、まるで水の中をじかに歩いているかのようによく見える。
ジョージア州のSonny Perdue 州知事は言う。「内陸のアトランタに海そのものを持ち込むのは、けっしてたやすい仕事ではありません。この水族館が完成したことは、私たち全員にとって大きな勝利です。」
その水族館の評判はすでに広まっている。予想外に多くの反響が一般の人々から寄せられ、最初の 2 ヶ月の来館者数は 60 万人近くに達した。年間入場券は 1 月中旬までにすべて売り切れ、このペースでいくと、 2006 年の年間来館者数は 350 万人に達する見込みで、 200 万人という当初の設定目標を大きく上回る。
この先の数ページかけて、アミューズメント・アトラクション業界にとっていわば新たな金字塔となったジョージア水族館を本誌( Funworld )の記者がレポートする。 Marcus が言うように、「これこそまさに夢の実現」である。
誰にでも勉強になる 自然保護に向けたメッセージがジョージア水族館の重要性を強調する
アトランタに水族館を建設するアイディアを最初に思いついたBernie Marcus は、来館者を教育するだけではなく、楽しませるような新しい工夫を凝らしたいと考えていた。いま、開いた口がふさがらないほどびっくりする無数の展示物を目の当たりにすると、彼のその方針が正しかったことがよくわかる。
しかし、見て楽しめるそれらの展示には、いずれも複数の目的がある。その主な目的のひとつは、自然保護に向けた水族館発のメッセージを強化することにある。獣医研修病院プログラムを完全統合して5,800 平方フィート(約 540 m 2 )と従来の倍の広さになった最新式動物治療施設を持つジョージア水族館は、水棲生物の保護と調査における世界的なリーダーを自負している。この水族館の展示はすべて、世界の海中生物という貴重な自然、さらにその保護のために何ができるかについて、人々の理解を促す工夫が凝らされている。
だが、この水族館では、各展示に何枚もの説明パネルの山を来館者に押し付けて読ませるようなことはしていない。その代わり、動物たちの姿がすべてを物語るように設計してある。それぞれ水槽の中にいる動物の名前を記したラベルを貼る以外には、観客に提示する情報量を必要最小限に抑えることによって、頭を飽和させてしまうよりも、むしろ来館者の好奇心をそそり、家に帰ってからもっと調べたくなるように仕向けている。目の前に見ている動物について質問したい人のために、展示室の至るところに多数の説明員を配置して、質問のひとつひとつに丁寧に答えている。これは、パネルに表示された情報を読むよりも、生身の人間から聞いた話のほうがよく記憶に残る、という考え方によるものである。
ジョージア水族館で教育上、格別な配慮を受けているのは子どもたちだ。 2 階はすべて子ども専用のスペースになっている。「ラーニングループ」という通称で呼ばれるこの階には、専用の入口から入るようになっていて、団体見学の学生とそれを引率する教師以外はここから入場することができない。年代ごとに 4 つに分けられたグループに 2 時間ずつかけて行われる「ループ」と呼ばれるツアーは、 5 つの展示室の上下に学生を案内するもので、一般の観客には公開されていない特別な展示や教育用実験室、それに舞台裏から見た水族館を見学することができる(入場料は子ども一人につき 9 ドル 50 セント)。
たとえば、「トロピカルダイバー」と題する壮麗なサンゴ礁の展示を例に見てみよう。まるで絵画のような太平洋の海中生物の再現に来館者が驚嘆しているのを横目に、学生は水槽の頭上を走るキャットウォーク(作業用通路)に立ち(そこはもちろん下方の展示室からは見えない)、快い雰囲気の中に人工的に発生させた大洋の波を間近に見ることができる。靴を脱いで、人工的な砂浜を歩きながら、このような環境が建物の中に作られた仕組みも理解することができる。
「リバースカウト」と呼ばれる展示室では、一般の来館者は、再現された川の「底」を歩いているが、学生はその展示を上から見下ろすことができる。山小屋をモチーフしたこの展示室には、インタラクティブに動く様々な教育用展示品があって、淡水生物や生態系に対する汚染の影響を学生に教えている。
この水族館で教育担当ディレクターを務める Brian Davis は言う。「当館では、展示の世界に入り込んで夢中になれるような学習環境を作ろうとしてきました。ここは、普通の教室とはまったく違います。」
こんにちは、ディーポ ジョージア水族館の数ある展示の中でも、この水族館独自の 4D シアターで上映されるオリジナル映画「ディーポの海中 3D ワンダーショー」ほど、その考え方と教育をうまく複合させたものはないだろう。
ディーポは、ガリバルディー(スズメダイの一種)というオレンジ色のかわいい小さな魚で、この水族館の公式マスコットである(一方、シロイルカやジンベイザメは「非公式の」マスコットと見なしてもいいだろう)。水棲動物をテーマにしたこの架空の物語の主役であるディーポをデザイン・制作したのは、 Gary Goddard エンタテインメントである。
この 4D シアターでは、ただ座席に座って映画を見るのとは大きく違った体験を味わうことができる。この種の視覚効果に優れた技術を持つ Goddard は、これ以外にも、ユニバーサル・アイランズ・オブ・アドベンチャーの「スパイダーマンの冒険」やフロリダ州オーランドにあるユニバーサルスタジオの「ターミネーター 2 ・ 3D 版」のデザインで中心的な役割を果たしてきた。この水族館のショーは、観客の前で挨拶していた役者が魚に変身して、海の友だち「ディーポ」とともに映画のスクリーンの中に吸い込まれていく不思議な演出で構成している。
観客には、映画の場面によって風を当てたり、水を吹きかけたり、座席を振動させるなどしながら、軽妙なミュージカルを楽しませることで、水族館からのメッセージを明確に、かつ巧みな方法で伝えている。
このシアターの入場料は大人が 5 ドル 50 セント、 3 ~ 12 歳の子どもが 4 ドル。
不思議に溢れた展示室 ジョージア水族館の 5 つの大きく異なる展示が目を楽しませ、心をはずませる
ジョージア水族館は、 5 つの大きな展示スペースに分かれており、それぞれこの星の異なった水域に棲息する生物に焦点を当てている。これらの展示スペースは、この施設の豪華な中央広場から分岐する形で伸びていて、中央アメリカ沿岸のバリアリーフ(堡礁)の海底から環太平洋地域のサンゴ礁、さらに北半球の北極海から南米の淡水域まで再現したこれらの展示スペースを歩きながら、来館者は様々に異なった体験ができる。それでは次に、見ごたえのあるこれらのスペースをひとつずつ見ていこう。
遠洋航海者: 巨人との旅 ジョージア水族館の中で最も特筆すべき展示は、「遠洋航海者:巨人との旅」という展示スペースを構成している容積 600 万ガロン(約 22,700 m 3 )の大水槽だということは疑いない。来館者がまるでメソアメリカンバリアリーフの真ん中に投げ込まれたと感じられるように設計されたこの展示スペースは、覗き窓の合計面積が4,574 平方フィート(約 425m 2 )に達する世界最大の「金魚鉢」である。
来館者が水族館の共用スペースから「遠洋航海者」の深くて暗い水中に足を踏み入ると、周囲は徐々に暗くなってくる。最初は水槽の中をちらっと見る人が数人いるだけだが、その後すぐに施設全体が驚嘆に包まれる。来館者が角を曲がると、周囲がすべてアクリルでできた全長 100 フィート(約 30 m )のトンネルに入り、まるで海底を散歩しているかのように、巨大な構造物の中の何千匹もの魚の中を歩くことができる。このトンネルは水槽のちょうど中央近くを二つに分けるように走っているので、この視点から見ると、ちょうど設計者が望んだとおりに、水があらゆる方向に流れ続けているように見える。誰の目にも明らかにこの水槽の王者であるジンベイザメのラルフとノートンが悠々と泳ぐその後をついていくかのように、小魚の群れが上方や周囲を泳ぎ回っている光景に唖然とした来館者が、ただ立ち尽くしている姿を見かけることも珍しくない。
ジンベイザメは世界最大の魚で、ジョージア水族館では全米で唯一、この 2 頭を飼育している。この水中の巨人の現在の体長はおよそ 25 フィート(約 9 m )である。しかし、ジンベイザメが成長すると、 40 ~ 50 フィート(約 12 ~ 15 m )、さらに 60 フィート(約 18 m )を超えることもある。これから数年後に、そのトンネルの中で、窓全体の半分にもわたって伸びるジンベイザメの姿を想像してみるといい。
だが、この水族館のこの区画で見る価値があるのは、ジンベイザメだけではない。ここを通りがかるとよく目にする魚はこのほか、シュモクザメ(成長すると体長 20 フィート=約 6 m になることがある)、ノコギリエイ、シノノメサカタザメなど、実に多種多様だ。
一方、この水槽の中には何千匹もの小型の魚が棲んでいる。コガネシマアジのような明るい色の熱帯魚が群れを成してトンネルを泳いでいる光景を見ると、まるで水棲動物の万華鏡を覗いているようだ。
この「遠洋航海者」の展示スペースは、ジョージア水族館の全体目標を最もよく表している好例である。この水族館の設計主任を担当した Gary Goddard エンタテインメントのオーナー、 Gary Goddard は言う。「ここでは、ありふれたものを作りたくありませんでした。この水族館は、いわば歩いて見て回るシアターのようなものです。」
この展示室で最後に現れる展示を見れば、彼のこの考え方が最もよくわかる。それは、高さ 28 フィート、幅 63 フィート(約 8.5 m × 19 m )という世界で 2 番目に大きな窓である。実に「シアター」と呼ばれているこの静かな部屋ほど、視野の広さを感じさせるものはない。座席はないものの、来館者は、階段状になっているフロアで休憩を取りながら、その光景に浸ることができる。この展示室の他の部分と同様に、このスペースには照明がほとんどない。厚さ 2 フィート(約 60 cm )のアクリル製の窓の向こう側から差し込む水の青い光がすべてである。部屋の隅にある 2 つのテレビ画面は、来館者がそこで見ている生き物に関する豆知識を流しているが、少し離れた場所に控え目に置かれている。もう少し情報を知りたい人はそれを見ればいいし、この静かな環境で干渉されることなく魚を見ていたい人にとっても、その存在はほとんど邪魔にならない。
この水族館の他の展示区域と同様に、この水槽もまた展示室の階の下方にあるので、来館者はこの水中の世界に足を踏み入れたような錯覚を覚える。アクリルの水槽を通して見た光景は歪みもなく、来館者は、本当に水の中を歩いているように感じるだろう。
北極海の冒険: 未知の冷たい世界 ジョージア水族館には見たり体験したりできる展示がたくさんあるが、絶対に見逃せないものがいくつかある。その中でも、シロイルカ(ベルーガ)は必見だ。
「北極海の冒険:未知の冷たい世界」という展示スペースにある容積 80 万ガロン(約 3,000 m 3 )の水槽に棲む 5 頭のシロイルカは、北極圏と亜北極圏の海からやってきた。とても社会性が強いこの哺乳類は、「ポッド」(小さな群れ)と呼ばれるグループで生活し、狩りを行い、移動する。シロイルカの筋肉質の身体は全長 10 ~ 15 フィート(約 3 ~ 4.5 m )で、しなやかなその動きは、まるでこの展示室全体に流れるニューエイジミュージックに合わせて踊っているように見える。その光景はとても見ごたえがあるので、この水族館では、 3 つの違った角度から見られるようになっている。つまり、展示室の 2 つのフロアのほかに、オーシャンズボールルームの正面入口から見ることができる。この「北極海の冒険」の展示スペースでは、シロイルカ以外にも、この水族館で最も多様で独特な生き物をたくさん見ることができる。
この区域に入った見学者の目にまず留まるのは、ケルプフォーレストと呼ばれる海草の群生地で知られるカリフォルニアの海で育ったスズメダイの一種、ガリバルディーである。この魚は、この水族館のマスコット「ディーポ」でおなじみだ。ここでも見学者は、水槽に使われたアクリルの重要性を目の当たりにする。来館者と魚の間に光の反射がほとんど生じないので、時にはひざの上に魚がはねあがってくるように見える。
まるで展示の中に入り込んだような臨場感は、この展示室全体で強調されている。たとえば、ガリバルディーのすぐ向こうには、水族館全体にわかって配備されたタッチタンク(海中生物をさわって体験できる水槽)が続く。水槽の縁まで満たされた透明な冷水の中には、ヒトデやウニなど、独特な手触りを持つ海の生き物が入っている。そのタッチタンクの傍には、この水族館で最もぞっとする生き物、タカアシガニが見えてくる。この光り輝く深海生物は、普通は海面から 1,000 フィート(約 300 m )の深さに棲んでいて、成長すると、脚を広げた体の幅が 20 フィート(約 6 m )に達することがある。これらの動物が棲息する薄暗い環境を再現するために、ジョージア水族館では、真黒に近い水槽にタカアシガニを入れているので、さらに薄気味悪く見える。
そのエリア(展示室それ自体)の反対側には、アフリカペンギンがいる。このペンギンたちが棲んでいる場所は、この水族館でも最も創造性の高い展示のひとつである。ここでは、水槽の下を走るトンネルを通り抜けた来館者が、ペンギンの群れの真ん中に頭を出して(もちろん、ガラスのパーティション越しで)見ることができる。
リバースカウト: 淡水の神秘 ジョージア水族館には、「それが決まった普通のやり方だから」といった古臭い言葉に従った展示はひとつもない。プランナーたちは、巨大な構造物のあらゆる面で一歩踏み込んで、観客の目をくらませ心を引き付けるようなユニークな展示を駆使して生物を見せている。この「リバースカウト:淡水の神秘」という展示スペースのポイントは、人工的に再現された北アメリカの河川が来館者の頭上を流れ、展示室の半分くらいを蛇行しているところである。来館者が実際の河床に沿って歩いているように感じることを意図して作られたこの重大なテーマの展示において、これは重要な要素である。
来館者が巨大な滝を通り過ぎて展示室に入る最初のところから、この展示のテーマは明確に示されている。そこから河川の流れに沿って下流に向かっていることに気づくのは、それほど想像力を要することではない。頭上の水槽はふたたび透明になり、コクチバスや絶滅危惧種のウミチョウザメなど、この大陸の浅水域に棲む生物が織り成す壮観な光景を見せている。滝の上から水中にふりそそぐ光は、来館者が実際に水面下を泳いでいるかのように、展示の至るところに光の斑点を投射している。(模造品の)巨木の根の周囲を巡って見学者がこの展示スペースの出口に差し掛かると、このテーマが示す考え方はますますはっきりしてくる。
ジョージア水族館は、このほかにも世界各地から淡水魚を収集してアトランタに連れてきた。アフリカ産のものでは、アフリカン(ピーコック)シクリッドや、微弱電流を発して獲物の位置を特定する エレファントノーズフィッシュ を展示している。この水族館はこのほか、南米アマゾン川に棲息し世界最大の淡水魚として知られるピラルク(アラパイマ)、ピラニアの遠い親戚で「リバースカウト」の始めのところに大々的に展示されているペーシュカショーロも飼育している。気の弱い人にはお薦めしないが、レッドピラニアの水槽では、彼らの棲む世界を安全な方法で覗き込んで、その大きく鋭い歯を間近に見ることもできる。
ジョージア探検隊: 故郷の海岸を知ろう 毎日、水の入ったプールに行ってアカエイをなでることはできない。それはそうだろう。毎日をジョージア水族館で過ごすわけにもいかない。
アトランタで必見のこの新しい観光スポットは、あらゆる世代が楽しめる場所としては申し分ない。だが、この水族館の中でも、特に子ども向けに作られた数少ない施設のひとつである「ジョージア探検隊:故郷の海岸を知ろう」は、 5 つに分かれたこの水族館の展示スペースで、最もインタラクティブに作られている。
この展示の目的のひとつは、ジョージア州の海岸線がたとえどれほど短くとも、この州が海に面しているという事実を地元の子どもたちに認識させることにある。この展示スペースの入口では、この水族館で最大のタッチタンクの隣に立っているミニチュアの灯台が、見学者に「故郷の海岸を知ろう」と呼びかけている。ここで、見学者は腕をまくって、アメリカアカエイやクロガネウシバナトビエイ(コーンノーズエイ)の入っている浅い水槽に手をつけてみることができる。 | |||||||||||||||||||||||||